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青い髪のへっぽこ魔術師「ラウシール」

こんにちはー。読書できれば幸せ、森戸です。 では連続投稿チャレンジ4日目、どしどし行きますよー。

『青の魔術師』 風羽洸海 さん これもすごーく好きな作品です。『灰と王国』で書籍化されている有名な作家さんですね。他にも『金枝を折りて』の本編や、『おまえの食費がとんでもない』なども拝読しております。おまえの食費がとんでもない、主人公とヒーローの関係性が素敵です。このくらいの距離感、好きです……。グロなしなので食人というワードに忌避感さえなければ、おもしろく読めると思います。 話を戻しまして、青の魔術師は長編2部+中編程度の幕間という構成の作品で、SF+ファンタジー。自称へっぽこ魔術師カゼスが、ひょんなことから時空を飛ばされてしまった先で国の行く末に関わることになり、最終的には自身の出生の謎にも迫る、そんなお話。歴史的な時間軸は『帝国復活』→『LOST』→『青の魔術師』なのですが、作者さまは主人公の体感的な時間の流れである『LOST』→『帝国復活』→『青の魔術師』の順で読むことを推奨されています。こちらの流れで読んだわたしの個人的な意見ですが、やはりこの順で読んだ方が分かりやすく、また主人公に感情移入しやすいと感じました。

青の魔術師は、どのキャラクターも魅力的なのがすごいのですが、時間経過に伴う性格の変化に無理がないことがまたすごいわけです。失ったもの、得たもの、大人になったということ、そういった複雑な混ざりあいによる、子供が成長したときの喜ばしいものだけでない、苦さを伴った変化に、読者もまた痛みを感じる……そして、昔の記述を読み返すと、それがより輝かしく感じられて、なんて得難く尊いものなのだろうと思うのに、それはもう手にできない、手にしないのだというキャラクターの覚悟が、辛く、重く、のしかかってきます。 平穏、平和、縁側でのんびりお茶でもすすって自堕落に過ごしているほうが性に合っていると自他ともに認めるカゼスですが、彼(カゼスを示す場合にのみ、男性という意味合いではなく、個を指す言葉としての「彼」です)の設定がまた巧く、唸ってしまいます。彼と恋仲になるキャラクターもまた憎い。すっごくいい男なんですよ。たぶん、カゼスにとっては彼以上の男性は現れないでしょう。そのくらい、彼はカゼスにとって特別です。でもそれはカゼスが二度と恋をしないということでも、大事なひとが現れないということでもないんです。それとはイコールにはならないんです。作中での時間の流れが残酷な一方で、とてもやさしくて。忘れたくなくても時間は流れていくし、伝承は歪んでいく。そして栄えるものにも、いつか滅びのときがやってくる。 歴史ものドラマが大河ドラマと名がつけられたのは言い得て妙だなと感じます。ひとつの川の流れ、それは時折他と交わりつつ、大きな流れとなる。それが歴史。そういったところにロマンを感じる人間としては、過去の思い出には懐かしさと慕わしさがあり、未来には希望があるこの物語にはロマンが詰まっていて最高だと言えます。

あぁ、書いてたら再熱してきてしまいました……また読み返そうかな。いやゲームが先なんですけどね。時間ができたら再読したい作品。 今日はこれにておしまい。また明日。

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追記:タイトル変更

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