名探偵には心がない
こんにちは。
今日は表紙と帯に一目惚れした本の感想です。
……記事が消えて、非常にショックを受けています。
せっかく書き終わったのに、wixのばかやろう……
『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』 高殿円 著
とってもとっても素敵な表紙! 安っぽくない題名にかけた緋色の背景に金色の枠……シャーリー・ホームズの英語の飾り文字! これでホームズとくれば、もうそれだけでムードが盛り上がるに決まってます。それに怒涛の追撃を与えたのが、帯イラスト……! 雪広うたこさんの描かれるシャーリーが、とんでもなく好みです。黒髪の麗人! 対比するようなジョー(ワトソン)のパッとしなさがまたいいのです。ジョーは決して不美人なわけではなく、可愛い系なんですけど、シャーリーが洗練されすぎてて霞んでしまう……。
ジョー・ワトソンはアフガン帰りの軍医。趣味でハーレクインもどきを書いている。男運がとことんない家系で、彼女自身もボーイフレンドに熱を上げては手痛い失敗を繰り返してきた。まぁ色々な理由があってロンドンに帰って来た彼女は就職がうまく行かずにいたところ、ひょんなことから美人な変人シャーリーとフラットシェアをすることになる――
記憶の限りでは、高殿さんのご本ははじめて読みました。ホームズは猫になったり怪盗と対決させられたりと色々ありましたが、ついに女性になりましたね。ちなみに、ホームズだけではありません。登場人物は<すべて>性別が反対になっています。なんて徹底的……。レストレード警部が女性で子持ちだったことに衝撃を受けましたよ、わたしは。
ここから先の記事が消えました。ショックなので手短に行きます。
シャーリーがかわいいです。きょとんとするシャーリー絶対かわいいです。ホームズに「かわいい」なんて言う日が来るとは夢にも思っていませんでした。ジョー、ありがとう。君がいなければこんなシャーリーは読めなかっただろう。
しかしジョーが隠していることもすべて知っているのに、ジョーを守るために傍に置いているシャーリーは本当になんなんです? ジョーの存在大きすぎません? 彼女がシャーリーの前でも平凡であるということが非凡であるというかそれこそワトソン博士ですよねというかそうでないとホームズの友人とかやってられませんよね、という。ジョーのシャーリーを受け入れる加減も非常に適切だと思います。
色々とぶっとんだ設定(ミセス・ハドソンが電脳家政婦で運転手がダッチワイフ人形※日本製)もあるし、敵を追いかけるときはなんかもうスピードが命すぎてすごいことになっているけれどあれですよね、『名探偵コナン』のコナンくんがキックボードで道路交通法は絶対無視してるよねっていうのと一緒ですよね。大丈夫、オールグリーン。謎解きはしっとり、しっかりしてますから。
あと、個人的に憎いなと思った設定は、シャーリーの人工心臓を作ったのが――ホームズの宿敵のあのひとだってことなんです。あのひとも、もちろん女性になってます。まさかあのひとに母性と女性ならではの毒気を感じる日が来るとは……。
ライヘンバッハの滝のくだりで、シャーリーがきちんと生還して、ジョーが望むような幸せな結婚ができますように。ちょっとジョーは目を離すと男で身を持ち崩してそうだから不安になるので……。
高殿円.シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱.早川書房,2016,277p.
ISBN:978-415-031257-2