Femme fatale
こんばんは。
今回のタイトルは「Femme fatale(ファムファタル)」フランス語の「運命の女」です。
最近、Twitterでよくこの単語を見かけるんですよ、なんでですかね?
たとえその手を取った先にあるのが破滅だけだったとしても、選ばずにはいられぬ、抗いがたい魅力を持つ女――それがファムファタル。
”あなた”に破滅をもたらす、運命の女なのです。
この言葉で思い浮かべるキャラクターがいます。
定期的に発作が起きるほど好きな、そして以前このブログでも感想を書いたことのある作品のキャラクター、藤村由紀(古宮九時)さん『Unnamed Memory』のティナーシャです。
そんな、わたしが熱を上げ続けているティナーシャが登場する同人誌(古宮さんご本人が出されています)2冊『砕けた月を瓶に詰めて』と『ヴィヴィア・バベルと屍人姫』を先日(と言いつつ結構前)購入しました。
実は、同人誌とか買ったことがなく、今回も勇気が出なくて諦めようとしていたところ、えしぇみるが偶々会場に居るというので買ってきてくれたのです。
えしぇみる、ありがとう……(泣いている)
両方読んだのですが、もう、砕けた月~がつらすぎて。泣く。泣いた。
これだから怖くてティナーシャ好きなのに(むしろ好きだから)なかなか読めないんだ……
”青き月の魔女”ティナーシャは作中でずっと月に喩えられてきました。
それが、砕けてしまった……あぁ、彼女は壊れてしまったのだと思い知る。もうタイトルからしてつらい。
読み終えてタイトルを振り返れば、あぁぁぁあ……(膝から崩れ落ちる)
大切な思い出を
ガラス瓶に入れて時折取り出しては眺めるように
壊れてしまった宝物を
そっとしまい込むように
狂ってしまった彼女の欠片を
ひとつ、ひとつ、集めて
砕けた欠片も、かつてのように見える瞬間がある。だから、いつかまた、あの日の彼女に戻るかもしれないという希望を捨てきれない――
うぉぉぉぉー! 好きだー! でも、読んでいるこちらが苦しい! オスカーが変わりゆく妻をいつの時代もそのまま愛しているのがまた!!! もう!!!(言葉が出ない)
……つらすぎるので屍人姫の話をしましょう!(急すぎる方向転換)
屍人姫はBabel時代なのでティナーシャが安定しているのでとても安心して読める! ありがたい! 表紙も童話みたいでものすごく素敵! という何とも清涼剤のようなご本でした。
一緒に買ってよかった。
Babelの主人公・雫もとても好きなキャラクター。屍人姫の主人公でもあります。
今回はエリク(彼も好き。思考を続けること、学ぶことは尊いと感じさせてくれる)が出てこなかったので夫婦漫才が見られなかったのが少し残念でしたが、雫のチャーミングさと面白さより知性と強さが前面に出ていたのが新鮮で素敵でした。
※Babelは文系女子大生が異世界トリップして異世界言語の謎に迫る物語。ただ個人的にはこの作品を異世界トリップなんて言葉で表現したくないという微妙な気持ちがあります……異世界トリップ好きですけど、ライトな印象が否めないので、そもそも異世界って言葉が便利なのは分かるんですけどあんまり好きじゃない……(妙なこだわり)
ここまで勢いのままに語りましたが、たまに、なんでこんなにもシリアスが好きなんだろうと思うことがあります。
つらいし悲しいし、体力も気力もがっつり削られるし。ハッピーエンドの方が幸せじゃないですか(当たり前)
でも、このやるせなさとか、寂しさを、うつくしいと感じるんです。
そしたら、もう、どうしようもない。
もしも、堪らなくうつくしい物語が読みたくなったとき、どうか『Unnamed Memory』という物語を紐解いてください。
これは、長い、長い――魔女と王の出会いと試行の物語です。