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それは魔女と王の、無名の御伽噺。

こんばんは。

インフルエンザが流行ってますがお元気でしょうか?

ブログでは年が明けてから初めてのご挨拶になります。

今更「明けましておめでとう」も何ですので、今年もどうぞよろしくという事で。

さてさて、今日、筆を執ったのはですね!

わたくし森戸の最推し! 古宮九時(藤村由紀)先生の『Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王』(以下「UM」)が昨日1/17に発売されたからです!

読んで!!!!!(もはやオブラートに包む気もない)

ちなみにわたしが書いたUM関連の過去ブログ記事→ 「達成者を待つ『青き月の魔女』」と「Famme fatale

このUM書籍版は「電撃の新文芸」と銘打たれた新しいレーベルの第1弾として発売されました。第1弾というのはつまり、今後そのレーベルが残っていけるかという今後の指標とされる、計測器のようなものでしょうから、出版社にとって非常に重要な立ち位置であることは想像に難くありません。

そこへ長年愛読していた物語が選ばれたと知ったときの誇らしさといったら!

一読者が何を偉そうに、とお思いでしょう。わたしもそう思います。

でも、なんと言いますか、「そうでしょう、そうでしょう、この作品は大層素敵でしょう! ようやく気づいたのね!」と大手を振って言いふらせると言いますか。

いや、UMという物語がとてつもなく魅力的なことくらい、ずっと前から多くの人が知っていたことなんですが。

そんな本書の帯には「Re:ゼロから始める異世界生活」の長月先生の魔女への熱いラブコールが。最後の「どうぞご一読あれ。後悔はさせない」の力強さに痺れる。

どんな人にもある程度の好みというのがあるので、「絶対不変のオススメ」というのはあり得ないわけで。そんな中、「後悔はさせない」と短くも強く、潔く、押し出せる作品のなんと貴重なことか!

そして恐ろしいことに、UMという作品は、その宣伝文句を間違いなく――ひょっとすると酷くあっさりと――体現するだろうと、わたしは思うのです。

それだけ力のある作品です。

わたしは発売日に確実に手に入るように書店で予約しました。

だって近場の書店はいつも入荷してくれないんだもの……だったら入荷させるしかないよね?

まず手に取って、ため息。

なんて甘美な厚さ……この紙の重なりの厚みの中に、あのうつくしい言葉たちがびっしりと並んでいるのを想像するだけでうっとりする。

表紙や挿絵で、web版のオスカーから少しイメージの変化が。なんか書籍版のオスカー、美形だけど苦労性っぽく見える……? 表情が苦々しげというか。青いというか。

もっと飄々とした、「お前本当に人間か?」と問いたくなるような文武両道ロイヤリティオリハルコンのイメージだったので……(どんなだ)

でも、大きな乖離なく、私の中で少しずつ馴染んできたように思います。

そのことに少しほっとしています。

長く作品を愛するほど、挿絵を受け付けられなくなることも多いので……それでもまぁ読みますが、できればイラストも含めてまるごと好きになりたい。

美麗な絵です。世界観も奥行きをもって描いてくれています。chibiさんの絵を、わたしはきっとこれからもっと好きになれるでしょう。

それはとても素敵で、嬉しいことです。

ここから下に、ネタバレにはならないよう、少しだけ作中から引用します。一言だって作品以外から受け取りたくない方は退避してくださいませ。

 * * *

彼女は実に無造作に彼へと預けてくる。心や体ではなく、その命を。

  いつでも殺せる。

  分かっていてそれをやっているなら不愉快だ。

  そして、無自覚にやっているなら――愛しかった。

               (Unnamed Memory I p.334)

このシーン、webでも大好きでした。

オスカーの深い部分から湧き出る愛情が、ティナーシャの脆さや危うさが、どうしようもなく美しくて、愛しくて、何度読んでも泣きそうになる。

「変わらないものが欲しくなったら、俺がそうだ。覚えておけばいい」

               (Unnamed Memory I p.214 オスカー)

これは先述のとは正反対に、見覚えのないやり取り(たぶん)新規で書かれた部分で、孤独に時を越え続けるティナーシャにいつか倦む日が来ることを案じたオスカーが言う台詞なんですが。素敵すぎて目眩がする。

胸が締めつけられてしかたなくて、抉れて中身が飛び出そう(なんて傍迷惑な)

だって、だって……彼は本当にこの言葉をずっと守ってくれるんですよ……そんな、愛にしたってあまりにも深すぎる……でも愛という他にこれを表現する言葉をわたしは持たない……彼らを表すにはあまりに語彙が貧弱……っ!

オスカーは基本的に全方位に向けてイケメンなんですが、ティナーシャに向かうときはもはやイケメンなんて言葉では足りない。対ティナーシャ用オスカーを表す言葉が必要なレベル。

慈愛……? 慈愛が近しいの……?

うぅ……このブログではいっつもオスカーとティナーシャのことを語るだけでページが埋まってしまいますが、オスカーの従者ラザルも友情と忠誠と誠実さがとんでもないレベルで推せるし、5人の魔女に至ってはもう、語彙力を体力と引き換えに召喚しなければならないし(カサンドラ、好きだ! 作者様のサイトにある中編「水の冠」がもう本当に素敵で)、細かく語り始めたらキリがないのです。

なので、わたしが言えるのは一言だけです。

「どうか読んでください」

それできっと分かります。

彼らがこんなにも愛しいということが。

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「Unnamed Memory I 青き月の魔女と呪われし王」

 著者 :古宮九時(イラスト:chibi)

 出版者:株式会社KADOKAWA

 ISBN :978-4-04-912267-1

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