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燃えていいのは、

――魂だけだ!

ということで、お久しぶりです!

いやはや毎日暑くてたまらないですね……

森戸は寒い方が得意なんで、暑いのは堪えるんですよ……バテる……

さて、さてさて。

前回の北南ライブを聞いてくださった方は勘づいているかもしれませんが、話題の「アレ」観てきました!

『プロメア』!!!!!

TRIGGER制作の、完全オリジナルアニメーション映画!

熱いぜぇ!!!

こんな夏にもってこい!な燃えるアニメ、感想も「完全燃焼」でお送りします!

正直、そこまで映画もアニメも知らない森戸ですので、TRIGGERの『キルキラル』も『グレンラガン』も、名前だけは……聞いたことあるな……? くらいの認識です。すみません。石は投げないでください。

もともとこの作品は、確か、ペルソナシリーズが好きな方々のTwitterで知ったんです。

死屍累々というか、次々と映画館に吸い込まれていく様がすごくて。

噂では、もう観たのに何度も通ってしまうというヤバいほどの中毒性を持つというではありませんか。これはぜひとも映画館で確かめねばなるまいと、調べましたら地元の映画館で一館だけ上映していましてね。

これはもう天啓。行くしかない。でもひとつだけ問題が……

そう、そのときのわたしめっちゃ風邪ひいてたんです!!!

どうしよう!!!? でもでもでももうすぐ上映終わっちゃうし、観ないと観れなくなっちゃうし……え、古宮先生(『Unnamed Memory』の作者様)が観に行っている、だと……? なんか毎日のように通い始めたぞ……? この流れ、なんか見たことある! デジャヴュ! めっちゃデジャヴュ! これあれだ、『ゼロの執行人』の時と同じだ! もう、風邪とか知らん! 観に行くしかない!

ざっくり言うと、まぁこんな経緯です。(どんな?)

でも案の定、咳やら何やらでスクリーンを観れない瞬間もしばしば。2時間弱、ロマンの鈍器で殴られ続ける映画なのは分かったのですが……リベンジのため、巷で噂のチネチッタ川崎で"滅殺開墾ハードコア"を体感することに相成りました。

結論から言うと、血行が良くなります。冷え性の人におすすめです。

△▼△

ここから先はネタバレあり。

覚悟はいいか?

▼△▼

えっと、大事なことだから、言います。

まず手始めに推しを叫んでいいでしょうか?      イイヨー!>

許可が出たので叫びます。(すぅ)(息を吸い込む)

リオ・フォーティア!!!!!!!

>> ボスーー!!! <<  >> オマエタチーーー!!! <<

え、もう、すごい好き。すごい好き。なんて言ったらいい?

ゴリラ。聖母。漢。先導者。誰かのために戦う人。守る者。ノブレスオブリージュ。

ぜんぶリオを表してるんだけど、めちゃくちゃ取っ散らかってるな!!!?

まずさ、細身なのが好み。顔がいい。あんまりこういうの言わないんだけど、顔がめっちゃいい。存在が宗教じみてるのに、本人はそんなのもぶち壊すゴリゴリの物理全振りなの。

頭いいだろうに、最後は力押しなの。

たぶんUMのティナーシャが好きな人はリオ好きになるよ。これは古宮先生も言ってるし間違いない……

ロボ萌えはないので序盤戦闘シーンは割と落ち着いて観てたんですけど、車の下を滑って潜り抜けるシーンで「めちゃくちゃカッコいいな!?」って心拍あがっている間に洞窟まできて惚れこみました。間にあるのが氷の湖でのガロによる束の間イケメンムーブだったので落ち着かないのです。これはそうジェットコースターらぶふぉーゆー体験(※森戸に夢属性はありませんので悪しからず)。

あの映画は基本的に全編通してジェットコースターで、振り落とされないように観ている間はただただ口開けて受け取るしかできないんですよ。消化はぜんぶ後回し。

余白があるようになんて観ている間は思えないけど、結構たくさんあって、そういうとこ巧いんです。本当に。

たとえば、「ぜっっったい、あのバーニッシュたちの村というか集まりの中で子どもたちを抱きしめてあげるボスはいるでしょ」と森戸は確信しているのですが、よくよく思い返すと映画で描写はないんです。それに気づいたときの衝撃ったら。

え、そういうシーンなかったっけ? 嘘、本当に? 幻覚??? うそでしょ……?

たぶんきっと映画本編中は殺伐として常に臨戦態勢だったから……ボスの両手は開けておかないといけなかっただけだから……

まぁ、そんなことは、うん、いいんですよ。

ただの少年であるリオと、バーニッシュたちのリーダーであり、マッドバーニッシュのボスであるリオ・フォーティアの塩梅が素晴らしくて。

彼はカリスマのある存在だしノブレスオブリージュで責任感もあるし自ら「背負う人」であろうとするから、理想を押しつけようと思えばいくらでも背負いこませられちゃうんです。でも、だからこそ、くだらないことで笑ってほしいし、年頃らしくバカなことをしでかして叱られてほしい。

きっとこれからも誇りを持ったままで生きていくだろうリオが、とても好きです。

我ながら語りすぎてて笑えてくる。

後がつっかえてるので、ちゃちゃっと行きましょう。

”主役は遅れてやってくる” ガロ・ティモス!

あの、べらんめえ口調がたまんねぇ。全てを救う圧倒的「光」の主人公。幼さと大人びた面のバランスがヤバい。巧い。パッと見だと分かりにくいけど基本的に特化型ではなくバランス型。そういうところは典型的とは言えないかな。

序盤の見得を切る、あの噛み合わなさ、最高。バトルシーンなのに緩急で言ったら「緩」の導入として成り立つの、ああいう「日常感」がそこかしこから匂い立っているからだから。

疾走感も溢れてるけど、確かにあそこは「緩」だと思うんだよ。

あとはねー、そう、ルチアが好きです。あの口調、癖になる。基本、プロメアは箱推しなんだけど、リオが別格でルチアは別枠みたいなところあるから……

そうそう、箱推しと言えば、本作序盤ヒロイン?枠のアイナがまたいい子でね。まだ若いのにプロフェッショナル感がカッコいい。どうかそのままの君でいて。

あと個人的には、めちゃくちゃニッチなのは分かってるんですけど、彼女がガロの名前を叫びながらバイクで降ってくるシーンで「ガロー!」じゃなくて「ガーロー!」って、一回「ア」の音が入るところが好きなんです。ちょっと巻きが入っているような。なんでだか分からないけど、あのシーンはロングPV観たときからすごい好きなんですよね。

さて。

ここからはもう少し真面目に。

と言ってもいつもの趣味全開好き勝手考察ですが。

聞くところによれば、プロメアはギリシャ神話ベースらしいですね。名前もギリシャ縛りとかって聞きますし。

ギリシャ神話はかじったくらいなので、まぁ神話とかってだいたいどこか似通ってるから、集合的無意識だから、くらいのスタンスで生暖かく見守ってくださいませ。

ギリシャ神話は多神教の神話です。

自然や概念は、人と同じような喜怒哀楽ある神が司る。神代の時代に、この世界はそういった神々によって形成され、満たされた。

今回は、女神の立ち位置とその役割、ギリシャ神話の十八番である”父殺し”に着目して話を進めていきたいと思います。

前段で喚きました、リオなのですが、彼(と彼の率いるバーニッシュ)の目立ったシーンのBGMは女性ボーカルの曲がセレクトされています。その中でも特に印象的なのは、やはりSuperflyの「覚醒」でしょう(最高にカッコいい曲です)。それから、みんな大好き洞窟のシーンでかかる「ΛSHES」や「BAR2NG4女14yoN」もそうです。

余談ですが、以前どこかでギリシャ好きな方が、見た目をお洒落にするためだけに安易に「Λ(ギリシャ文字)」を「A」の代わりに使って欲しくないと言っているのを見かけたことがあるんですよ。今回のはギリシャ繋がりがあるので勘弁してもらえないでしょうかね……すごく幻想的で悲しげだけど素敵な曲なんですよ……

で、ここまでは状況証拠みたいな、事実の羅列です。

ここへ考察を絡めていきますとね、恐らく、作中において「炎生命体プロメア」は女性性をイメージとして付与されていると思うんですよ。

リオはプロメアの共鳴者であるバーニッシュの中でも特別な存在として描かれます。”彼ら”の最大の共鳴者であり、バーニッシュを導く、バーニッシュを代表するキャラクターです。

その彼の見せ場はことごとく女性ボーカル曲。むしろ彼以外のシーンにおいては(わたしの記憶はあまり当てにはなりませんが)女性ボーカルがメインの曲はほとんど使用されていなかったと思います。

まず、これは意図的なものと考えてもよいと思います。

このことから捻り出したのが、「女神の立ち位置と役割」をプロメア(と、プロメア共鳴するリオ)が担っているのではないかということです。

く、くるしい……

でもですね、神話において女神というのは大抵「穏やかさ(=母性)」と「苛烈さ」を併せ持った存在なんですね。

その「苛烈さ」は、インドの女神カーリーだったり、日本神話の伊邪那美(1日に1,000人殺す発言)だったりに表れるものです。こういう論調は好きじゃないのですが、女は感情的という昔の考えもここに繋がっているんじゃなかろうかと個人的には考えてたりします。ギリシャ神話にも怒りっぽい女神はたくさんいるし、昔から女は怖かったんだろうな。

作中において「苛烈さ」は分かりやすくリオに表れます。そう、あの龍のシーンです。

あそこで火山がドーンと噴火し、炎が街を焼く。この火山というのもキーワードです。

山というのは古来より(日本では)女神の座す場所なんですね。修験の山には男性しか入れない、女人禁制というのはつまり、女神は非常に嫉妬深いので他に女性が入るのを許さないということらしいんです。読みかじりでソースも曖昧なんですが。

他にも、大地母神、母なる海、なんて聞いたことがあるでしょう。海や大地は「母」が司る場所。ついでに言えば、海と山は民俗学で言う異界です。

大地とそれに連なる山々は女神のもの。そして地中にあるマグマは、血が通うイメージで「生命=熱(炎)」を連想させます。血や禁忌も「女」のものです。

ここで(ちょっと脱線するんですが)タイトルとそのロゴの話を挟みますと、そもそもプロメテウスって火山ですし当然かもしれないのですが、ロゴにも抽象化された山(=三角形)が入っているんですね。

具体的に言うと、PROMAREの「M」です。これは大きな三角形に小さな三角形二つ。そしてこの作品で「M」と言えばもうひとつ、そう、マッドバーニッシュの「M」です。この大小異なる三角形3つで構成されるマークはマッドバーニッシュを表現しているんじゃないかと踏んでいます。

えっと、長くなりましたが、つまるところ、火山もまた「女神」を示すものとして配置された面があるんじゃないかなーということです。こじつけもいい所ですが、これらのことから、プロメアと、プロメアに共鳴するリオ(バーニッシュの代表)は神話における女神を表し、その役割を果たしていると仮定します。

世界創世や人類を生み出す神話では多く男女の神が配置されます。プロメアではキャラクターや山、建物など諸々の名前からギリシャ神話の大洪水が下敷きになっていることが窺えますが、これも最後に夫婦神が人類を生み出します。

そこで、映画「プロメア」における女神役がリオだと仮定して。

では、男神役は?

そこはもちろん、主人公のガロでしょう。むしろ違ったらびっくりするわ。

ここで2つ目のお題である「父殺し」も絡めていきましょう。

体制側の人間であるガロは、恐らく幼い時分にバーニッシュ火災から(後に司政官となる)クレイ・フォーサイトに命を救われたという背景を持ちます。

もうガッチガチの体制側ですね!

この体制側はどことなくキリスト教(一神教)の匂いがするのですが、キリスト教の形にクレイとガロを当てはめても面白いですね。父と子で。でもとりあえずそちらは煮詰まってないので今回は割愛。

ギリシャ神話にクレイとガロを当てはめるなら、これもやはり父と子になります。プロメポリスにおける最初の「神」はクレイです。

多く、父親という存在は息子にとって越えるべき壁であり、障害です。息子は父を倒して一人前になり(通過儀礼の過激版みたいなもの?)、新たな支配者になる。

ギリシャ神話はそういう筋書きです。

でもガロは違う。

ガロは「クレイも救う」んです。

偉大なる父という人生最初の大きな壁を越えるばかりではなく、倒されて役割を終えたはずの存在にさえ手を差し伸べる。これはつまり完全な超越です。

そして、ガロは「支配者」にはならない。ガロが望めばそれこそ支配者にでも英雄にでも成れるでしょうが、彼は望まない。彼は「共に歩む人」であることを選ぶ人なので、どこまで行っても彼の王国にはたどり着かない。

そこも新しい時代の新しい神話であることを感じます。

余談その2、親殺しと対になるように、神話では子殺しもまた描かれますが、プロメアでもクレイはガロに愛憎渦巻く複雑な感情を持っており「目ざわり」「死亡率の高い職場へ追いやった」ことを告白しています。

クレイの複雑な心境は、まぁ噛み応えがありそうだし、考えれば面白いんだろうと思うんですが、正直他の方の考察でお腹いっぱいで。クレイの信念も、苦悩も納得できます。どこまでも真面目で潔癖な彼にとって、己の罪が形を取ったような少年が自分を信じて慕う様を見ているのは生き地獄だったろうと。

でも言語化できない深い部分で納得しすぎて、積極的な興味が湧かなくて……

個人的な興味とは別に、「プロメア」においてクレイ・フォーサイトというキャラクターの担う役割の重要性は理解しているんです。彼がいなければこの物語は成り立たない。そして彼には人としての「厚み」がある。それは事実で、事実は感想によって変化しません。

クレイ好きな人が多いのも納得です。

あと書いていて気づいたんですが、彼も激昂する場面が描かれるキャラクターなんですよね。やはり彼にも「女神役」であるプロメアの性質が……? 間違いなくクレイは父性を司るキャラクターだと思うので、そうなると彼は一人で父母役をこなしていることに。雌雄同体は錬金術で「完全」を表すので、一神教感マシマシですね……

えー、長い余談でした。

ともあれ、ガロによる新しい形での「父殺し」もとい「父親越えという通過儀礼」を経て、ガロは父性(神性)を得ます。独り立ちですね。

で、ラストシーン付近。リオ(女神)とガロ(男神)の共同作業によって地球再生・人類再出発が為されるわけです。ちなみに日本神話フレーバーを感じるのは最初「リオデガロン」なのが次に「ガロデリオン」となるところ。神を生む際の「伊邪那美から声をかける→(やり直し)→伊邪那岐から声をかける」に重なります。

なんというか……深読みしようと思えばいくらでも読めるのが沼だなって感じ。

いい加減、神だの神話だのうるさかったかと思います。

ここまで読んで辟易した方はどうか安心してください。いや、ここまでネタバレのある記事を未視聴で読んでる人は早々いないと思いますが。

プロメアは! 神話わかんなくても十分、おもしろいです!!!!!

全体のまとめとしてざっくり言うと、「分断、断裂」「再生」「神話のやり直し」みたいなのがベースにあるのかなーと感じなくもないのですが、メッセージとしては「他者と完全には分かり合えないけど、それでもあなたを尊重することはできる」かな、と。

この映画は、それを強く信じる作品だと思います。

だからこれは、共により良い明日を作っていこうと、誰かを信じる、物語です。

▲追記▽

リオ編銀幕で観られるってマジ!!!??? 観れてないんで有難いけど!!!!!

つか上映館めちゃくちゃ増えてるんですけど!!!!!???

観に行けと? もう一回観に行けと???

あと関係ないんですが、コヤマさんの『DETROIT.』欲しいですね……

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