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「君が助けを求める顔してた」


こんにちは。いやぁ連日投稿とか本当に久しぶりすぎる……

前回の反省を活かしてサクッと本題に入りますよ。


『僕のヒーローアカデミア』 /堀越耕平


〜目次〜

① 全体の構成

② ヒーローと敵(ヴィラン)

④ 好きなキャラクター

⑤ 好きな場面

⑥ メタ的関係性(役割)及び物語上の関係性の変遷

  >緑谷出久とオールマイト

  >緑谷出久と爆豪勝己

  >爆豪勝己と轟焦凍

  >エンデヴァーを添えて*考察、あるいは妄言

⑦ アニメ・映画等への所感

うーん、長い! じゃあサクサクいきましょーう。

ネタバレ有々のアリなので、読んでないと分からないように書くようにするけども、どうか各々お気をつけを!



「これは僕が最高のヒーローになるまでの物語だ」

① 全体の構成

 うん。まずね、ここに触れなきゃいけないと思うのです、この作品は。

 流れが上手いのはもちろんのこと、芯がどこまでもしっかりしていてブレない。そういう作品は強い。中弛みしないから面白さにいい意味で波がないんですよね。つまりずっと面白いってことなんですけど、これがどれだけ凄いことか…

 読んでいる間はその途方もない熱量に浮かされて気づかないけど、後から振り返れば、この物語には、解が先にあって、そこへたどり着くようにパーツをひとつひとつ揃えていくように綿密な構成の根が張られていたのが分かるんですよ。

 また、これは連載誌であるジャンプの特性だと思うんですが、伏線の回収が素早いんだよね、序盤は特に。これによって読者は過度のフラストレーションを感じることなくテンポのいいストーリー展開を飲み込んでいける。でも同時に、それで物足りないと思うこともない匙加減が巧みなところで、大小強弱のついた伏線が上手く配置されては次から次へとやってくるイベントを整えてる。これが =「面白いの正体」なワケなんだけど、ホント堀越先生の頭ん中どうなってんだ。すごすぎる。

 これは枝葉の話にはなるんですが、構成・設定の妙があちこちにあって、例えばオールマイトはあまりに「強すぎる」ので、縛りがキツく、戦力としては途中退場する。これがシナリオと絡んで全く不自然にならないんですね。

 導入の、鬱屈とした中学校での閉塞感、主人公を取り巻く「どうしようもなさ」と、出会いと高校入学による解放が素晴らしくリアルで、それでいてカタルシスに満ちている。閉塞→解放という段階的な世界の広がりは取られやすい構図ではあるけど、ヒロアカでは主人公の出久が段々と成長していく様子とリンクして視野が広がっていくのを肌で感じて、ワクワクが止まらない。この先では何が待っているんだろうって。

 ステイン編の飛行系脳無が出久を選んだのは何故か設定されていることからも、全編通して先生の中でシナリオはもう決まっているんだろうと思う。もう読者は掌の上でコロコロされるしかない。コロコロ。しかしあの脳無の設定には心が抉れた……だって……いつ…きっとまだ中学生だったのに……こんなに希望に溢れた、頼もしく成長していく主人公たちと同い年で、同じように可能性に満ちた未来があったはずなのに……


「笑わないよ ジェントル・クリミナル」

③ ヒーローと敵(ヴィラン)

 超常が日常となり、ヒーローが公務員としての立場を与えられた世界で、人為的、作為的に引かれた線は果たして正しいと言えるのか。何がふたつを分かつのか。

 <ヒーローとは ヴィランとは>

 これがヒロアカのメインテーマのひとつなのは恐らく間違い無いでしょうね。非常に本質的なテーマで扱いが難しいけれど、ヒロアカはこのふたつの表裏一体さとその違いを作品そのもので、あるいはキャラクターたちの行動で示してくれているように思います。まだ言葉では明確に答えは出ていないけれど、そのうち出てくるかな、とも。問い自体はかなり序盤に(彼自身の言葉でないにしろ)死柄木弔が発しているので。

 何が成否を分けるのか。これはヒーローモノだけでなく、己の正義を掲げるばかり悪の道に進むダークヒーローモノの永遠の命題でもあります。文化祭編のvsジェントル+ラブラバでも顕著に現れてましたね。好きです、ラブラバ。

 ヒロアカはどうやって決着をつけるのでしょうね。今から楽しみです。

「ーー戦っています 身をよじり…足掻きながら!」

 また、ヒロアカの良いところとして、生徒がちゃんと庇護する対象として描かれているところがあるんですが、これは大人が真当な大人たちだからこそ成り立つ図式です。まかり間違ってもエヴァではこうはいかない。

 ヒーローの卵である主人公たちは立派なヒーローとなるべく努力して背伸びしてその場その場で「今、自分にできることを」全うするんですね。非常に青臭くていいんですが、大人からしたら「まだガキなんだから大人しく守られてろ」ってな訳ですよ。子どもらが目標にしているのが極々当然に受け入れられる、人格者なんですね。子どもたちの力が、振り絞ってもあと一歩届かない時、やって来る大人のなんと格好いいことか! ヒーローは、遅れてやって来るもの。でも、同時に「間に合う」ことがヒーローであるための条件なんです。間に合わなければ、それはヒーロー足り得ない。


⑥ 好きなキャラクター 1/2

 いやぁ基本的にもう箱推しなんですけど、なんですけど! 敢えて! 語ります。

 緑谷出久、爆豪勝己、轟焦凍の3人は言うに及ばず大好き(not 夢)なんですが……わたしはどちらかと言うと、キャラクターを好きだと思うことは彼らに付随する物語や、その成長、生まれる覚悟や生き様が愛しいと思うことであって、初見でコレが好き!みたいなのがほとんどないんですよね。

 なので、彼らについてはストーリーを含めて後述に譲るとしてここでは割愛。

「ヒーローが辛い時 誰がヒーローを守ってあげられるだろう」

◯麗日お茶子(ウラビティ)

…笑顔はじける麗かさ。少年漫画のヒロインを張るだけあってタフでガッツもある。最初から結構好きだったけど、体育祭のvs爆豪戦でかなり好きになり、職場体験〜インターンでは彼女のいじらしいまでの成長が眩しくてしかたなくなる。お茶子の個性は決して攻撃性は高くないし、本人の性格的にもバトルヒーローとしてやっていくよりレスキュー寄りなんだけど、体育祭で自分の手数の少なさに気づいて弱点を埋めていく方向に自ら動いたのが凄いと思う。まだ15歳なんだよ…?

 上のセリフは22巻のお茶子のモノローグなんですが、この彼女の疑問はヒーローモノが常に抱える命題だよなぁと深く頷く。彼女から見た出久があまりにもヒーローで、後ろを振り向かないものだから、胸が、締めつけられる……その言葉、その想い、出久にも聞かせてやりてぇよ……

「何もできねェのかよ……!!」

◯切島鋭児郎(烈怒頼雄斗)

…インターン編で激推しキャラへ。それまでは特に強い印象さえ抱いていなかった。でも、たぶん、わたしがあの世界のモブだったらヒーロー・烈怒頼雄斗(レッドライオット)のファンにはならなかっただろうな。普通に一市民として見せてもらえる部分だけ見ていたらウラビティやフロッピーのファンやってたと思う。

 彼の潔さや強さは、彼が「そうなりたい」と強く思う描く姿であることが、泣きたくなるほど好きです。彼自身は本当はとても平凡で、心が特別強靭なわけでもない。なりたい自分(理想)と現実の乖離に悩みながらも、なりたい自分になるために、後悔と決別するために、恐怖の中にも飛び込んでいける。弱さを持った、等身大の切島鋭児郎という少年が、それでも憧れを追う姿を尊敬します。

 彼のエピソードで芦戸さんもかなり好きになりました。

「梅雨ちゃんと呼んで」

◯蛙吹梅雨(フロッピー)

…可愛いと賢いを併せ持ったスーパーキュートなキャラクター。期末試験でリカバリーガールに「チームの精神的支柱になれる」と評されていたのがすごく好き。彼女の俯瞰的に物事を見ることのできる冷静さと優しさを端的に表していてお気に入りの場面なのです。またクラス対抗戦、心操くんをチームに迎え入れての戦闘時に「心操ちゃんを正面から戦わせてしまったわ 策を怠った私がいけなかった」と驕るでもなくただ事実として言った様に惚れぼれしましたね。

 ちなみに心操くんも好きです。さらに心操くんから波及して物真くんも嫌いじゃなくなりました。彼みたいな癖の強いキャラが多いと辟易してしまうこともあるのですが、彼にも彼なりの理屈があると分かったので。

「ここまで言われてやらないのも… ロックじゃないよね」

◯耳郎響香(イヤホン=ジャック)

…恥ずかしがりで素直じゃないけどロックでカッコ可愛い。明確な理由はないけど、とにかく好き。なんでだろうなぁ。上鳴とセットでいるのも好き。いい奴だよね上鳴。お互い信頼しているけど普段は言葉にしないの。

 あ、あとクラスメイトでは意外と峰田くんも嫌いじゃないです。緑谷出久の初期からの成長を間近にした故のコメントがいい。それに、彼は期末試験で「カッコいい」の正体に気づいちゃったからね! ただ、繊細で乙女な耳郎さんを密かに傷つけたのも忘れてないよ。

「これまでの全て何も無駄にはなってない 俺は依然ルミリオンだ!!」

◯雄英生

…飯田くん、瀬呂くん、雄英BIG3

 声にならないほどの憤りが足元から脳天を一気に貫き、熱を持つーーステイン編の飯田くんの息苦しさよ…あの戦いから多くを学び、次は間違うまいと、「ヒーロー」であれと律する飯田くんの成長が眩しい。

 瀬呂くんは1ーAで一番大人だと思う。あの年ですでに「自分にできること/できないこと」を知っていて、かつ、できないことを僻まない。地味だけどそこがいい。

 天喰くんと波動さんの組み合わせが好きです。文化祭のミスコンでそれに気づきました。同い年の女の子をてらいもなく「妖精のよう」って形容できるってどういう精神構造しとるん??? ミリオはやっぱり17巻No.152の「ルミリオン」ですね。泣きそう。


うへぇ、ぎっしり。

長くなりすぎるので「好きなキャラクター」は2つに分割し、以降は次回に持ち越しです。


では。さらに向こうへ、プルスウルトラ!

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