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「終わりを飛び越えていくアイドルたち」と過ごした日々


2023年5月20日、わたしは「アイドル」を知った。

推しは推せるときに推せ。よく聞くフレーズだが至言である。

時間や資金が推しと出会ったときに都合できるなら推しておいたほうが、人生の心残りがない。

わたしたちに許された自由はあまりに少ないから。


わたし(森戸)はアイドリッシュセブンのマネージャーになっておおよそ2年の新人マネだ。

一緒に創作をしているえしぇみる氏は所謂「先輩マネ」にあたるが、彼女の熱量が高いうちにハマらなかったため、実際に話をするときは森戸が一方的に話すばかりでちょっとばかり申し訳ない気持ちになる。

けれども、わたし自身、自分のハマったタイミングを後悔したことは、実はない。

なぜなら前述した「時間と資金」が万全にそろったタイミング、それがまさに今、現在進行形なので。



『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』


ちょっとエグい角度で沼落ちしたアイドリッシュセブンが、劇場版をやるらしい。

しかもアニメではなく劇場版『ライブ』だという。

……劇場版ライブって、なに?

わたしはアイドルに詳しくない。

ジャニーズもハロプロもAKBもほとんど知らない。友人からとにかく嵐を覚えろ、AKBの神7(当時)を覚えろと言われ顔と名前を一致させたものの、覚えた頃には友人の推しグループは変わっていた。

人の心、移ろいやすすぎる。

そんな感じでリアルアイドルとは距離を置きつつ、物語を付与された創作物の中の「アイドル」は結構好きだった(たぶん、これはわたしが物語を好きな理由と同じで、基本的にその中で語られる登場人物の感情に嘘がないからだと思う)。

話が逸れ始めたが、ともかく、わたしにとってアイドルとはそれくらい縁遠く、ライブというものにも造詣がほとんどなかった(それこそアイドリッシュセブンの声優陣によるライブくらいしか知らない)ため、劇場版ライブなるものがどんなものになるのか、とんと想像できなかった。


そしてやっとここで話が冒頭に戻る。

2023年5月20日、16人のアイドルによる『BEYOND THE PERiOD』の開幕だ。

ここまで長々と自分語りをしてきたが、これは4か月の上映を経て千秋楽を迎える『BEYOND THE PERiOD』と駆け抜けたわたしの感想と思い出を書き留めておくものである。




はじめに

まず、最初に言っておくべきことがある。

いやもうめちゃくちゃ楽しかった!!!!!!!

めちゃくちゃライブだった。想像以上にライブだった。ライブというものをほとんど知らないけど、それでもあれはライブ以外の何物でもなかった。

DAY1とDAY2で半分以上は同じ内容のはずなのにまったくの別物だった。たぶん、同じセトリでやっても違う日のライブは違うものだっていうのと同じ理屈なんだと思う。すごいな。


結局わたしは計13回ムビナナ(劇場版アイドリッシュセブンのこと)を観ているわけだけど、飽きがくることがない。何度見ても目が足りないし、新しい発見もある。それでいて最初に観たときの衝動も覚えてもいる。こんなすごい体験があるだろうか。

だって、劇場に足を運ぶ度、共有する空気が違う。

観客一人ひとり、誰かが違うだけで、その日、その場所でのライブは別物になる。

スクリーンの向こうで何人ものアイドルが口にした言葉を、真実この瞬間に味わうことになるなんて、誰が想像しただろうか。『BEYOND THE PERiOD』「ライブ」足り得る理由は、まさにその「体験」にある。


自分ではない誰かと、同じ奇跡を共有すること。

それこそがムビナナの真骨頂なんじゃないかな、なんて思う。




初見の衝撃

冒頭の『MONSTER GENERATiON』で度肝を抜かれた。

だってムビナナには4グループも出てきて、きっと歌う曲数だって限られてて、そんな中でデビュー曲のモンジェネを歌うの?って。

正直、わたしにとって、楽曲としてのモンジェネは好きとか嫌いとかはなくて、あえて言うなら「好みじゃない」で、物語としての積み重ねがあって初めて意味が出てくるような曲だった。


なのに、スクリーンに映るモンジェネは全然知らない『MONSTER GENERATiON』で。


傘を持って踊り、歌うアイドルたち。

アイドルの前を横切る(衝撃である)バックダンサーたち。

――モンジェネだ。新しいモンジェネだ!

もう、意味もなく興奮する。いやもう意味とか要る?

傘を持って出てきた時点でもう呆然としたもん。あの、デビュー前に駅前でした雨の中のライブを、嵐の中アクシデントばかりのライブを、こんなに遠くまで来ても彼らは忘れてないんだって。

バックダンサーが私服やスーツを着ていたのもそれを後押しした。

アイドルの前を横切るのも、彼らがまだ無名だった頃にした路上ライブらしくて泣けてくる。

2曲目が『RESTART POiNTER』なのは、もう泣かしにきてるとしか思えない。


ŹOOĻ『ZONE OF OVERLAP』では、ただただダンスと演出に圧倒された。

足捌きのきれいさに見惚れた。

そして。

「どんな快適な旅をしてきたか知りませんが……」

「私たちはホストではなくゲスト」

巳波。

おい巳波。それはMCが上手すぎるだろうがよ。

アイナナちゃんたちにその技術を分けてやってくれ。合同ライブだからちゃんと進行守らなきゃって絶対アドリブ入れないぞって感じで、もはやぎこちなかったから。

2曲目は定番の『Bang!Bang!Bang!』

悠のソロに目を奪われているうちにŹOOĻの出番が終わる。あっという間だ。


このイントロは! デイブレだ!!!


ウォォォォォ!TRIGGER!TRIGGER!TRIGGER!

八乙女楽がスッとパネル裏から現れただけでもう最高潮。

なのに、天が投げキスなんてした時にゃ、もう、「ギャアアアアアッ!」よ。

TRIGGERってやっぱりすごいんだなぁって、だって、もう、居るだけで華がある。

階段を優雅に降りてくるだけで存在感ヤバい。気品が溢れてこぼれてる。

細身で綺麗系の天がデカい男ふたりを従えてる構図が最高。

しかしこの男ども、全員ボケなのだ。最高。

天「奇跡の星って知ってる?」

龍「知ってるよ! 地球のことだよね」

龍之介の声優である佐藤拓也さんの言葉がまさしくだったのでお借りすると「完全に歌のお兄さん」のノリである。

そして2曲目『LAST DIMENSION』のアレンジ! いやマジでビビった。

このアレンジは好きだけど、ダンサーさんのメンタルがタフすぎる。


グループ登場のトリを飾るは王者Re:vale!

Re:valeといえば『NO DOUBT』外さない選曲だ。

カッコいい、カッコいい! え、モモの表情がいつになく挑発的じゃん!

ステージにふたりなのに全くそれを感じさせないのが強い。

そしてボケもできる絶対王者。

ユキ「Re:valeのライブ、初めてかもしれないけど、これから30分MCやるから」

モモ「オレたちの馴れ初めみたいなものをね。いつも聞いてもらってるから!」

そのいつもの30分のMC聞きたいんだがどこに行けば聞けるんです???

ユキ「モモ」

MC安定しているかと思えば、気がついたら墓地にいたんだが何がどうしてこうなった。

いやだってモモのガチ照れは反則でしょうが。ユキは自重して。モモが死んじゃうから。今一番力入れたイケボを向けたあなたの相方が照れて死んじゃうから。

2曲目は『Re-raise』手堅い!

いやもうオシャレだな! めちゃくちゃカッケェよ先輩!

それにしてもユキの足が長ぇ~~~~!!


そして流れる謎の映像。え、え、え、なにこれ。

SF? 分かんないけどカッコいい!


って、観客席からの登場!!?!???


それはズルいだろうっ、ってか、激熱じゃん!!!!!!!

衣装が星巡り(※イベスト)みたいで素敵だなぁなんて呑気に思っていられたのはほんの数秒。

突然放り込まれた新曲ラッシュに、ここからしばらく記憶がない。

とにかくŹOOĻの新曲がいつもと違ってよかったな、とか。

TRIGGERの新曲がエグいくらいカッコよかったな、とか。

そのくらいのぼやけた記憶である。


意識が戻ってきたのは新曲ラッシュの終わり。

そう、『Incomplete Ruler』だ。


観たかったやつ、観たかったやつです!!!!!!!!!!

ありがとう! ありがとう!!!

頭の中はお祭り状態。言葉が出たとしても「うひゃあ」とか「ひぃ」とかだけだっただろう。

もうね、陸と天の表情が凄まじくて。

お互いを見ているのに決して視線が交わらないのが切なくて切なくて。

あわ、あわわわわ……

ひぃ……

最後の……表情……


ここで『TOMORROW EViDENCE』!!??? 天才か?


陸はゼロ(孤独)にはならない。なぜなから彼はIDLiSH7の七瀬陸だから。

こんなのもう泣くじゃん。泣くに決まってんじゃん!

え、え、これ、この曲で全員集合するの?

そんなことしていいの?

え、そんなのもう、マジもんの「幸せになろう、みんな!」じゃん……

天才?(n回目)

この、この歌詞、ホント好きでぇ……

勝手に報われて救われた気になってて……(半泣き)


わちゃわちゃしたMCに癒しを得つつ、次がラストの寂しさを噛みしめる。

ガチであっという間だった……

最後は新曲『Pieces of The World』

いい曲……あんなに色々あったアイドルたちが同じ方向を向いて一緒にステージに立ってる。

この瞬間は永遠じゃないけど、終わりはあるけど、奇跡なんだね。

だって、どんなにいがみ合っていたとしても、この瞬間はきっと誰かの隣に居られるから。


アンコールは『Welcome, Future World!!!』

一織の優しい表情を見て胸が詰まるような幸福感に浸り、エンドロール。

DAY2も観る。




DAY2

ゑ!? 『PTT』!? ティーカップ!!???!?

え~~~可愛い~~~んですけど~~~~!!!!!!

環の「present 4(for) you!」が天才だった。

そーちゃんのモデルが可愛い。くっろいねこも~おどろいてさぁ~♪


そしてここで『ササゲロ』!!??

電話のジャスチャー古くない!!!!???? 悠とか通じなくない?

エッッッグ、演出ゴリゴリでカッコいい……

巳波「……なんてね?」

それはズルいって言ってんだろうが。

DAY2はMCが凄かったね。トウマ総愛されだった。見間違いじゃないもん。

悠の「どんな姿もオレたちだよ」は泣かせに来てる。


『Crescent rise』も好き! やってくれて嬉しい!

立ち上がろう~♪のところの振付が好き。楽の合図でふたりが身を起こすところ。

改めて、アイドルやるために生きてきたふたりに見劣りせずに並べる龍のポテンシャルやべぇ。

あまりにもスタイルが良すぎる。


Re:valeの曲違いは『激情』~~~~!!!!!!!

めっっっっっちゃ、好き! ライブで聞きたかったやつ~~~!!

ありがとう! ありがとう!

PVで炎がぶち上ってるの見て来ないかな~って思ってたの! 嬉しい~!

ユキ「いつもはモモのために歌ってるんだけど」

今日も相方のために歌っていいよ。わたしたちはそれを見せてもらうから。


~ここから初見時に失われた記憶(新曲)~


IDLiSH7『NiGHTFALL』

いい歌……やば……これが記憶になかったとか、それもヤバい……

ムビナナ見て思うのはやっぱり陸に目が行くなぁってこと。センターって伊達じゃない。

ソロとか胸が締め付けられるような美しさがある。

あぁぁ振りも素敵。みんな表情がやさしい。

生き~たい~♪のところの、そーちゃんが美人すぎる。


ŹOOĻ『STRONGER & STRONGER』

好きだ……の気持ち。新しい境地でありながら間違いなくŹOOĻの曲でもある。

ここで悠のMCが効いてくるんだな……「どんな姿もオレたちだよ」……

観客に背中を向けて歌うのが彼ららしいというか。反逆者としての側面ではなく、弱さもある、素のままの彼らの柔らかい部分を見せてくれているような。

そういう彼らの物語を知っているからこそ、あの背中を愛おしく思う。


Re:vale『Journey』

ライブテーマそのままズバリ持ってきましたみたいな。

衣装も旅人モチーフ。

NHKとかチャリティーとか児童向け教育番組テーマソングっぽい。大御所っぽい。

合間に入る寸劇(?)からの曲戻りがスムーズで芸歴の長さを感じる。

っと、噂の(薬指の)指輪確認ーーーーーー!!


TRIGGER『BEAUTIFUL PRAYER』

好きだ……!!!

いやゴリゴリのディスコサウンドでちょい懐かしめのラインでありながら、新しいの!

今回のライブ良曲ありすぎだけど、美プレは五指に入る。

衣装も好き。楽がイケメン。マジでカッコいい。天は色っぽくて可愛い。そして、

龍「yeah……」

冒頭に彼が来るとは正直思ってなかった。あれはダメ。あれは落ちる。理解る。


陸、無茶ぶり全員ファンサありがとう。

でも全員見れません。時間を十倍に伸ばしてくれ……


そして千秋楽

DAY1もDAY2も観たし、応援上映で人生で初めてペンライト振った。

わざわざ越県してDolby Cinemaも観に行ったし、4DXも観たし、違う劇場でも観た。

コラボクレープも食べに行ったし、スカイビルも訪れた。

アフタートークも全グループ聞きに行った。みんな可愛かった。

特にŹOOĻ、あんなに可愛いのを表に出していいのか? 狂気と破壊のテトラルキアは?


色んな思い出ができた。

嫌なことがあっても、救われた気になった。

今日はムビナナを観るんだからと頑張れた。


段々と増えていく龍推しのマネさんたち。

そしてなんだかよくお見かけした虎於激推しのマネさん。

もしかしたら楽激推しのマネさんも毎回同じ方だったのかな。六本くらい同じ色のペンラ持ってた。

りばれ先輩激推しの方も居たし、MEZZO"推しの方も居た。

隣に座った人のペンライトの移り変わりが似ていると嬉しかったし、痛バやぬいを持っている人、推し色の参戦服を見るとニコニコした。みんなオシャレだ。

わたしも参戦服が欲しくて水色の服を探し求めた。いくつか購入して、それで劇場に通った。

楽しかった。


本当に楽しかった……


これで最後と、千秋楽ウィーク初日の9月23日に劇場へ足を運んだ。

最初の大樹が生えてくる映像でもうダメだった。

コンタクトごと逝くわけにはいかないから、グッとこらえた。

覚えてる。最初に観たときの、ときめき、高揚感。

あっちもこっちも観たい。あぁ、目が足りない。

推しとか、推しじゃないとかじゃない。みんな見たい。

だってみんな魅力的なアイドルなんだもの。

あぁ、終わってしまう。千秋楽を迎えたら、彼らと過ごす日々は終わってしまう。


――終わってしまう、けど、


アイドリッシュセブンはそれを超えてくれる。

きっと『BEYOND THE PERiOD』はそういう約束なんだと思う。


『NiGHTFALL』で「終わりを迎えた日も 傍らに君がいれば 始まり待てるんだよ」と歌っていた。

たとえ終わったとしてもまた新しい夢が始まるのだと、信じられる。

『TOMORROW EViDENCE』で「駆けてきた日々よりも長い時を迎えに」と、高らかに歌った彼らだから。



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