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悪夢ちゃん秘話

おはようございます。最近めっちゃ忙しい!


今日は14:30~から北南ライブになります。

また、2月ということで毎年恒例「#創作強化月間」を開催中。

今年は次回作『あやかしあやし』の前日譚である漫画『誰そ彼に乞う』を四週連続で更新しています。漫画は全4ページで完結になります。最終更新となる今週の金曜日をどうぞお楽しみに。

ライブも#創作強化月間もどうぞよろしくお願いします!


さて、今回はタイトルにもありますように、『好きって言ってよ!悪夢ちゃん』の制作秘話をお話ししたいと思います。

まぁ制作秘話というか、制作意図かな?

とにかく、いつものように好き勝手書き散らかして参ります。



作品テーマ

これはズバリ「変わらぬ愛」「愛の試練」です。

いや二つあるやーん!って、それはまぁそうなんですが、これは二つで一つのテーマと言いますか。表裏一体なんですよね。

古今東西、「真実の愛」「変わらぬ愛」の探求というテーマは手を変え品を変え繰り返されてきました。

有名どころだと『美女と野獣』ですね。有名であり傑作のため繰り返しオマージュされています。直近だと細田守監督の『竜とそばかすの姫』が挙げられます。

閑話休題。


「姿が変わっても、変わらず愛せるか?」


この問いはそのまま恋人たちへの「愛の試練」と言えます。

ここでは便宜上「恋人たち」と書きましたが、なぜか恋人になる前の二人に降りかかることが多い試練です。これを乗り越えられればハッピーエバーアフター間違いなし。そうれあれば、読者/視聴者は安心して物語を離れられようというものでしょう。


悪夢ちゃんは、ヒロインでありながらテーマそのものでもあるキャラクターです。

彼女の七つある変化形態のひとつ「緑化公園」が、男性であることに疑問を持たれた方も少なくなかったように感じています。

わたし(森戸)とえしぇみるは、緑化公園が男性であることがこの作品に必要な要素であると考えています。そして、この作品において、あえて彼(便宜上、彼とします)が男性であると取り上げて別枠として扱う必要があるとは、ちっとも考えていませんでした。


でも、想定してよりも、ずっと、わたしたちの考えは作品からは伝わらない。

これが、森戸のゲームシナリオの拙さ、説明不十分な不親切さが招いた現実です。

語らずとも察せられる、そんな技巧が足りていないのです。


ならば、足りないなりに動いてみようと思いたったのが、この記事です。

まず、彼を最初にキャラメイクした時の意図のお話をしましょう。


緑化公園は何者か?

森戸の最初の意図としては、彼を悪夢ちゃんという一人の少女の裡にある「アニムス」として定義しました。

はい。ここで恐らく大半の方が「アニムスとはなんぞや?」と思ったはず。


ででん! アニマ/アニムスとは!

ざっくり言うと、哲学者ユングが提唱した思想のひとつです。

専門的に学んだわけではないため「ふんわり」していますが、アニマが男性の心理が持つ女性性、アニムスが女性の心理が持つ男性性と認識しています。

wekiで見てみると、アニマが一人であるのに対し、アニムスは複数であるようです。また、アニマはその人にとっての理想の異性像であるような印象ですね。

ふんわりです。間違っていたら怒らないでこっそり教えてください。


つまり、簡単に言うと緑化公園は悪夢ちゃんの中の男性性として描写しています。


メタ的に、そろそろメンヘラヤンデレ女子にも飽きがくる頃かな……というのもありましたが、それだけでなく、シナリオでもテーマと密接に絡み、主人公の意識に変化を与える重要な役割を担います。


「性別が変わっても、変わらず愛するか?」


この問題提起が彼の肝です。

姿が変わる最大限の振り幅のひとつが、これです。

別に「性別が変わっても変わらず愛せるか?」だけが「真実の愛」の定義であると言っているわけではありません。異性愛の人にとっては、相手の性別が変わってしまったら、大切な人であることに変わりなくとも恋愛的に愛せるかは別問題でしょう。愛せないのは悪いことではありません。

ただ、ここでは、記憶がない主人公の「なんだかよく分からないけど大事だった気がする女の子からちょっと猟奇的だけど熱烈アプローチを受けている……から彼女が気になるのかな?」という、好き好き言われたらその気になっているのでは問題へ風穴を開けるため、


「性別が自分と同じでも、やっぱ好きじゃん!」

(この子のこと、マジで取り返しがつかないくらい、好きなんじゃん……)


という、起爆剤的な「気づき」になる流れを作っています。

分かりづらいですね。

ちなみに、えしぇみるに聞いたところ「緑化公園も他の子も関係なく”悪夢ちゃんは悪夢ちゃん”」として描いてくれているそうなので、主人公にとっても悪夢ちゃんは悪夢ちゃん以外の何者でもないのでしょう。


主人公の女性遍歴

今作の最大の反省点は「主人公側の心情を描かなかったこと」です。

あの世界は「悪夢ちゃんの心理世界」として定義していたので、メモや日記という形で彼女の心情や秘密はポロポロ出せましたし、主人公が意識を失ってからのことも描けた(日記に父親の再婚の話が出ている)わけですが。

反面、記憶がないなんて設定にしてしまったがために主人公の話が全然できなかったのです!!!


そうなるともう「悪夢ちゃんから見た主人公」しか描けないわけで。

設定ミスとしか言いようがない。

一応、主人公の元カノとかの話は設定があるのでお蔵出しします。あ、主人公は異性愛者です。


悪夢ちゃんの日記にあった元カノは二人目の彼女さんです。短い期間で別れました。

一人目の彼女さんは中学生の時に、やっぱり一瞬だけ付き合いました。向こうからキスされてしっくりこなかったので別れました。最低です。

基本的に淡白というか、あんまり興味がありません。告白されたら「じゃー付き合う」みたいな。

顔は普通なのですが時折ふとした瞬間に無駄な語彙力がアレで優しいので時折勘違いさせてしまい、告白されます。そして「じゃー付き合う」して、別れます。メンドクサイのが嫌いなので。最低です(二回目)。


これは何故かというと、だいたい悪夢ちゃんへの愛情のためです。

主人公は無自覚でしたが最初から彼が恋愛感情を抱いているのは悪夢ちゃんしかいなかったので。

物語開始時では一応まだ「大事な妹分」というガワを被っていましたが、筋金入りです。その割に、こうして悪夢ちゃんの荒療治がなければ自覚は手遅れになってからだったかもしれないほど鈍感です。


主人公と悪夢ちゃんは割れ鍋に綴じ蓋、お互い以外では上手くいかない相性の人間として設計しました。


エンディング

エンディングで主人公は悪夢ちゃんへ告白します。

地味に、彼からする告白は初です。ですが、んなこた悪夢ちゃんは知りません。

変わらないものとして信じていた「父親からの亡き母への愛」が再婚によって揺らいでしまった悪夢ちゃんは力を暴走させ、すでに何人かの女性とのお付き合いをしていることを知っている(=信用ならない)意中の男性の意識を己のものにしようとしました。

そのこと自体は彼女の理性が意図するところではなく、エンディングでは正気に返り、罪の意識を持っています。


自分とは違い、他の人間の心は移ろう。


悪夢ちゃんにとって主人公も例外ではありません。そして、ここで一度手に入っても、失ってしまうかもしれないことは本来の彼女には到底耐えられることではない、のに、彼の告白を受け入れたように見えるのは、その場の雰囲気に流されたのと、もう二度と会わないことを覚悟したあとでは一度でも彼を手にしたいと欲が出たのと、彼への罪の意識があったからです。

対する主人公にはもう悪夢ちゃんを手放す気は一切ありません。


円満に終わったかに思えるエンディングで奇跡的なすれ違いを起こしているカップルなわけですが、このあたりは「めでたしめでたし」の、その後のお話です。

なんやかんや、すれ違いに気づいて主人公が信頼を得るために一生かけて彼女への変わらぬ愛を証明していくしかありません。

悪夢ちゃんも大概メンドクサイ彼女なのでこじれることも大いにあるでしょうが、手を離さない選択をし続けるのが主人公という男です。一度まとまったら放っておくに限ります。

彼らは、割れ鍋に綴じ蓋なので。


終わりに

ここまでお読みいただきありがとうございました!

今回は『好きって言ってよ!悪夢ちゃん』の製作意図のお話でした。


それではまた、別の記事でお会いしましょう。



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